世界的な組織犯罪第三位、人身売買(性的奴隷・強制労働・臓器売買・養子など)のために活動する、
インドの女性のスピーチをご紹介します。
スニータ・クリシュナンさん。
この方、ハーフザスカイでも紹介されていました。

スニータさん自身、活動の中で、ヤクザに腕を折られたりしています。
これから、人類最悪の人権侵害、
世界第三位の組織犯罪、100億ドル産業についてお話します
現代の奴隷制度です
この3人の子どもたちについてお話します
プラニータ、シャヒーン、アンジャリです
プラニータの母親は売春していました
売春させられていました
母親はHIVに感染し
死期が近づいたとき
つまりエイズの最終段階に来た時
もう売春できなくなり
4歳のプラニータをブローカーに売りました
私たちに情報が入り 現場にたどり着くまでに
プラニータは既に3人の男にレイプされていました
シャヒーンの背景は私も知りません
その数はわかりませんが 彼女は何人もの男にレイプされ
線路で発見されました
そのひどさは、彼女の腸が体外に露出しているほどでした
彼女を病院に連れて行くと
腸を体内に戻すのに32針縫わなくてはなりませんでした
彼女の両親や彼女の身元は 今もわかりません
何百人もの男が彼女の身体を
残酷に扱ったことだけがわかっています
アンジャリの父は酒びたりで
こどもをポルノ業界に売りました
ご覧になっているのは
商業的な性的搾取のために取引された
3歳 4歳 5歳の子どもたちの写真です
この国では、また世界中で
何百、何千という子どもたちが
3歳や4歳という年齢で
性的奴隷として売られています
しかし人間が売買される目的はそれだけではありません
「養子」という名目でも売買されます
臓器売買のためにも売られます
強制労働、らくだジョッキー その他あらゆることのためにもです
私は商業的な性的搾取の問題について仕事をしています
その場所からのお話をしましょう
このような子どもたちと関わる私の旅は
ティーンエイジャーの頃始まりました
15歳の時、私は8人の男に集団レイプされました
レイプのことは 犯された怒りほどには思い出しません
そう 8人の男が私を汚し レイプしましたが
一部始終は覚えていません
私は自分を犠牲者だと思わなかったし 今もそうです
しかしそれ以来今まで 私を去らないのは―私は今40歳ですが―
巨大な 狂暴な 怒りです
2年間 わたしは村八分にされ 烙印を押され 孤立させられました
犠牲者だからです
私たちは皆 人身売買の生還者をそのように扱うのです
私たちは 社会としては
犠牲者を犠牲にする専門家なのです
15歳の年から周囲を見回して 私は
何百、何千もの女性や子どもたちが
性的奴隷の仕事をさせられ
我々が彼女たちを受け入れないために
間断なく それを続けさせられるのを見てきました
彼女たちの旅はどこから始まるのか?
彼女たちの殆どは 自由放任の家庭の出身で
貧困層からだけではなく
時には中流階級からも人身売買されます
この警官の娘は14歳で 9年生の学生でしたが
ある男に言い寄られ レイプされました
そして家出しました
彼女は 悲劇のヒロインになりたかったのです
そして人身売買されたのです
とてもいい家庭の出身の子どもたちが人身売買されるケースが
何百、何千とあります
騙され そして強制されるのです
彼女たちの99.9パーセントは
抵抗しながら売春の道に引きずり込まれますが
何人かはその代償を払うことになり
殺されます
その子たちの事は知られることさえない
声なき 名前のない人たちです
しかしその他の 屈服した女性たちは
拷問の毎日を過ごすことになります
そこにくる男たちは 恋人を作ったり
家族を持ちたいのではないのです
彼らはお金で一時間 あるいは一日彼女を買い 使い 投げ捨てるのです
私が救い出した女性たち
―私は3200人以上を救い出しましたが―
誰もが同様の体験を語るのです
必ず何かを経験しています
膣にチリパウダーを入れる男
タバコの火を押しつけて火傷をさせる男
鞭で打つ男
我々はそういう男たちと生きているのです
自分の兄弟や 父親や
叔父や 従兄弟や 周りの全てです
そして彼らについて沈黙している
売春は楽にお金を稼ぐ―近道だからだ と思っているのです
その女は好きでやっているんだ と思うのです
しかし 彼女たちはお金だけでなく
あらゆる性媒介感染症
HIV エイズ 梅毒 淋病や
薬物依存 麻薬などあらゆる代償も払います
そしてついに 希望を捨ててしまう
我々が彼女になにも与えないから
そうして この搾取を日常として受け入れるようになるのです
彼女は信じるのです
「そうよ これが私の運命なんだわ」
「毎日100人の男にレイプされる これがあたりまえ 」
「助けがあるなんてありえない」
「リハビリテーションが受けられるなんてありえない」
私はそういう状況で働いています
そういう状況から子どもたちを救出します
小さい子どもでは3歳から40歳の女性まで救出してきました
彼女たちを救出したとき、大きな課題になったのは
どこから始めるかでした
彼女たちの多くは
HIVに感染していました
救出した犠牲者の3分の1は HIV陽性です
だから 私の課題は
どうやってこの苦痛から抜け出す力を
得るかを理解することでした
私自身が経験したことが大きな力となりました
自分自身を理解し
自らの苦痛を理解し
孤独を理解することが
最大の教師だったのです
彼女たちと行ったことは
それぞれの可能性を理解することでした
この女性は溶接技師の訓練を受けました
ハイデラバードの大きな会社の作業場で家具を作っています
1万2千ルピーを稼ぎます
読み書きができませんが
訓練を受け、熟練溶接工になりました
なぜ溶接で、コンピュータでないのか?
彼女たちが有しているのは 無限大の勇気ではないかと思うのです
彼女たちの体内にはパルダ(女性隔離の習慣)はなく
顔を隠すヴェールもありません
彼女たちはその境界を飛び越えたのです
そして男性優位の世界でも非常に簡単に
臆することなく戦うことができたのです
私たちは彼女たちを大工や石工として訓練し
警備員や運転手として訓練しています
彼女たちのそれぞれが選んだ分野で優秀であり、
自信を持ち、尊厳を回復し、
自らの人生に希望を再建しています
彼女たちはラムキ建設などの大会社で
フルタイムの石工としても働いています
私にとっての課題は何だったのでしょうか?
私を打ちすえた人身売買業者ではありません
今までに14回以上 暴力を受けました
右の耳は聞こえません
救出活動中に殺害されたスタッフもいます
私にとって最大の課題は
社会なのです
あなたと私の課題です
最大の課題はこのような犠牲者を自分たちの一部として
受け入れない社会の態度です
私の友人であり
非常に友好的にしてくれていたある支持者は
毎月野菜を買うための2千ルピーを寄付してくれていました
彼女の母親が病気になったとき、彼女は言いました
「スニータ、あなたには知り合いがたくさんいるわ
だれか私の家に来て
母の面倒を見てくれないかしら?」
それから長い沈黙があり
彼女は言いました
「でもあの子たちはだめよ」
このA-Cホール(講演のあった場所)で人身売買について語るのはとてもトレンディです
人身売買は、議論や、講演や、映画などの格好の材料です
なのに彼女たちを家には連れて来たくない
自分の工場や会社で彼女たちを雇いたくない
私たちの子どもには、彼らの子どもと一緒に勉強してほしくない
そこで終りです
それが私にとって最大の課題でした
今日ここへはスニータクリシュナンとして来ているだけではありません
人身売買の犠牲者や生還者の声として お話をしているのです
彼女たちには思いやりが必要です
あなたの共感が必要です
そして何よりも
受け入れられることが必要です
人々に話す時にはいつも一つのことを話します
この問題に対応出来ない理由を
100も挙げるのはよしてください
1つでいい この問題に向き合う方法を
考えてもらえないでしょうか
私はそのためにここに来ていて
あなたの支援を求め
支援を要求し
支援を要請しているのです
あなたの沈黙の文化を破れますか?
この話を、少なくともあと二人の人に話してくれますか?
話をしてください
その人達がさらに二人の人に話すよう説得してください
あなたにマハトマガンジーや
マーチンルーサーキングやメダパトカールのようになれとは言いません
あなたの身近な世界の中で
心を開いてほしいのです
この人達を受け入れてほしいのです
彼らも我々の一部なのだから
この世界の一部なのだから
ご覧になっているこの子どもたちのためにお願いします
この子たちはもういません
(シャヒーンとアンジャリ)
去年エイズで死にました
慈善や施しではなく人間として
我々の支援に値する人間として
彼らを受け入れてください
いかなる子どもたちにも、いかなる人間にも、
この子たちが体験したようなことが起きないように
ご清聴ありがとう
「1790年代、奴隷制廃止運動家は、
経済やフランスの脅威といった地政学的複雑さを理解しない
理想主義的説教家と片付けられることが多かった。
略
何十年か後に人々は振り返って、
19世紀の大西洋横断奴隷貿易より大規模な21世紀の性奴隷貿易を、
どうして黙認することができたのかと不思議に思うだろう。
未来の人々は、妊産婦医療への投資が不足しているために
毎年500万人の女性が出産で命を落としているというのに
一行に関心が高まらないのを見て理解に苦しむだろう。」
「売春宿に閉じ込められた少女、
村はずれに建てたれた小屋の床にろうを煩って丸まっている少女。
今日の課題は、彼女たちと向き合うよう世界に求めることだ。
世界中で両性の不平等と闘い、少女の教育と機会を推進する運動が起こってほしい。
米国の公民権運動も環境保護運動もひとつのモデルではあるが、
どちらも身近に起こる国内問題が対象だったという点で、今日の課題とは違っている。
米国の女性運動をモデルにするのは控えたい。
国際的な問題が「女性の問題」と呼ばれたら、もう失敗したも同然だ。
残念ながら現実として、女性の問題は軽視される。
奴隷制が黒人の、
ホロコーストがユダヤ人の問題とはみなされないように、
性人身売買や集団強姦を「女性の問題」と見るべきではない。
ひとつの人種、性別、信仰に限らない、人道的問題なのだ」
「ハーフ・ザ・スカイ」より
動画はこちらで見られます。
他にもいろいろ興味深い講演の動画がたくさんだった。
http://www.ted.com/talks/lang/ja/sunitha_krishnan_tedindia.html