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チモッキ

思ったり、感じたり、言ったりしたこと

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本、読みます?

いろんなことを知りたくて、どんどん新しい本を読むほう?
そしてちゃんと知識を得る?
それとも、知識を得るとか期待してなくて、
好きな本を、そらんじられるほど何度も何度も読む人?あなたネクラ?私?ネクラよ。 
私は、同じ本を何度も読むほうです。そりゃあネチネチとね、ウッヒッヒ!
 
佐野洋子さんの本も、何度も読んでる。
初めて読んだのは、佐野さんの本でおそらく1番有名な「百万回生きたねこ」でした。
(どうしても「百万回死んだねこ」と言ってしまうんだ。)
幼稚園の時でした。
 
最初読んだときは、なんて残酷な話なのか、と。
猫を何度も殺しちゃって、最後はとうとう生き返らないなんて、
作者はなんて意地悪ババアなんだろう、と。
ゆるすまじ、ゆるすまじ!怒りにぶるぶる震え、憤慨する園児。
でもずっと覚えてた。
 
二十歳のころ古本屋さんで、「あ、ねこの話の人だ」と佐野さんのエッセイを買ってみて、
その文章のリズムのいいことや、文法とか時々正しくないのに、
正しい日本語より言いたいことが伝わるところ、大好きになってしまいました。
 
私は、「私毒舌だから」って簡単に言う人が好きじゃない。
そういう人は、たいてい悪口や愚痴を、毒舌と言ってしまっている人で、ぜんぜん毒舌じゃない。

なんだろ、単なる悪口が、毒舌だからって言うと許されるようなあの感じ。
なにより「私、毒舌だから」ってことで、悪口を言うって行為を、
ほんの少しでもマイルドにしようとする狡猾さに似たものを、
どこかで自分も犯してるんだろうなーって気づかされるとこが、なにより怖くて、いや。
 
ほんとの毒舌は、生まれながらの知性と、やさしさがないとできないものだと思う。
あと正直さ?
多分真実に毒舌の人は、自分が毒舌かって意識してないんじゃないだろうか。
ある時、人の目を通して気づかされることなんじゃないだろうか。
 
佐野さんは、正真正銘毒舌の人。そしてあったかい。
でも近くにいたら、この人いやだなーと思うと思う、私。
だって毒舌なんですもの。
 
佐野さん、お外に持ち運び率ダントツ1位です。
どこにでも持っていくので、文庫の表紙は、擦り切れてぼろぼろ。いとしい。
昔のエッセイが、特に好き。
 
「私はつくづく、活字なんか食わなくても、体と頭がまるごと自然に成熟するということが十八でわかった。わかってあたりを見回すと、ほとんどの女の子はごく自然に大人の女になっているのだ。
その人たちは、私がボーヴォワールを持っていようが、林芙美子を持っていようが、ひるむことなくじっと私の目を見て、「あなた子供ね」と憐れむように私を見た。人間として、いや女としても、あの憐みの目は正しい感受性というものだ、と今も私は思う。私、人間あんま、本なんか読まないほうがいいと思う。」
 
「本を読んでインテリにならずに済むというのは非常に難しい。教養というものは、凡人にとってやっかいなもので、それは教養をつき抜ける知性を持った選ばれた人にだけ役立つものである。日本中が書斎で勉強をして、それぞれが哲学書なんぞを執筆したら、国中ガタガタになって天ぷらそばだって食べられなくなる。」
 
「それにありがたい事に、凡人がいくら本を読んでも、少しも利口になぞならない。中途半端なインテリになるだけで、中途半端なインテリはとても生意気で感じが悪くて、口ばっかで、実行力がいまいちなのよね。私はそーいうものになってしまっているわけで、嫌だなと思っても、趣味というものがない私は、やっぱり活字が好きなので、はっきり言って趣味が読書という人はなまけ者と思っていい。」
 
これ読んだとき、ひざを打ちました。
は、は、は!ほんとだよ、私なまけものだもん!
本を読まずにおれない。本って楽しいだけで頭よくならないけど、
でも知ることは増えるから、男の子が本読まないっていうと、ちょっとがっかりしたりして、
そしてそれを隠すことができないので、男の子もがっかりしちゃって、
いい事なんかないよなーと思いつつ、読まずにおれないの。
 
ううん、ほんとはいいことたくさんあるのわかってるんだけど、
「ね、私本読んだからこれを得たよ」ってものを提示できないんだよね。自分以外には。
 
ああ、なまけものなんだ。やっぱりなんにもならないんだ、本読み。
読書してるのわかると、えらいねえらいね言われてきたけど、
なんもえらくない、楽しいだけ・・・とうしろめたく思ってたの、間違ってなかったんだ。
しかたない、これからもなまけながら本読むしかないんだわ、ウクク。
と後ろめたくも、なんとなく何かを決意したような気持になって、すごくうれしかった。
 
でも、頭がいいなと思う本読みの人もちゃんといますね。
2種類の本読みがいるのかもね、しっかり身にするのと、体の中をただ流れていくだけのと。
 
判別のコツは、ノンフィクションとかで文章内に出てくる数字を、
大ざっぱでなくちゃんと読んで理解してるかどうかじゃないかと、個人的に思っています・・・。
「えっ、おめぃ数字は読んでねえのかよ?!」って思ったあなた、あなたは身になってる本読みですぞ。
 
チーモは朗読好きな読み聞かせババアなので、友達にも読み聞かせる。
家族があつまってるとこにおもむろに登場、突然朗読始めたりも。
もちろん嫌がられます。
しかし朗読マンはくじけない。好きなんだ朗読。
 
好きだった男の子に「百万回生きたねこ」を朗読したとき、
読み終えると彼は「そうか、幸せな愛の話なんや」と言っていた。
そうねぇ幸せな愛の話だったのねぇ。

園児には、そんなことわからなかった。
そんなことわからない園児がずっと覚えてたんだから、
さらさら飛び出すみたいな文章で、
それが普通みたいな顔して、
佐野洋子はやっぱりすごかったんだなー。
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Comment

無題

  • なぎさちん
  • 2011-08-09 08:11
  • edit
1度読んだ本を、もう1度読むって、あんまりしない。
よく「愛読書は?」って質問があるけど、困るの。好きな本はあるけど、何度も読み返さないもん。
詩集とか、参考書みたいな本は何度も読むけど。

「百万回生きたねこ」は、全然印象に残ってなかったのに、初めてのお給料で甥にプレゼントした本。
なんか、そんな力があるんだね、この本。

なぎさちん♪

  • チーモ
  • 2011-08-09 23:09
  • edit
なぎさちん、そうそう、人にあげたくなる絵本みたいですね。
私も人にもらったのが一度、人にあげたのが二度あります。
ふふ、初任給で甥っこさんにっていいですね。
そう、愛読書は?って困る。聞かれたことないけど。
自分で自分に質問して、答えられない質問の一つです。

ああ参考書!繰り返し読みますね。
って同意しつつ、繰り返し読む参考書ってないぞ私!って気づいちゃいました、勉強してないなー。

なぎさちんが繰り返し読む詩集…
何の詩集だろう、となぜかときめく私です。
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