あらおひさしぶりネ!(片口下げながら)
ちょっとアンタ、元気なの?アタシも嬢もげんきヨ。
(アーンタ、ここは美川憲一風に読んでよネ)
正直に言えば、新学期の学校が始まったころ駅のホームで、
(昨年一年、私どうやって乗り切ったのか覚えてないや)と、
ぼーっとしておりましたし、
正確に言えば、嬢は耳の腫瘍が存在感をまし、
さてどうしよう、というかんじですが、
嬢は笑顔で、しあわせそうで、かわいこちゃんです。
学校が始まり、新たな縁もあったり、今はさらに肺炎から生還した猫との縁もあったり、
けっこう忙しいの、あたし。
でもさぁ、苦労自慢しちゃうのよくないねー。
つい愚痴めいたことをいってしまうのだった。
学校に行くことにした決定打は、自分の未来を考えてのことではもちろんありますが、
一番の理由は、早く力をつけて、職場に嬢と同伴できるようにして、
嬢の老後を迎えても、1人自宅におくことなく、
彼女のそばで最後を看取れる地位と環境を得ようと思ったから。
しかし結果、嬢に向けられてたエネルギーはかなり分散され、
しかも、看取れる環境どころか、もしかして卒業にさえも嬢は間に合わんかもしれん。
ある春の日、嬢の毛皮に手をうずめるとあったかくて、
彼女のボディをもみもみすれば、嬢はゴロゴロといい、
キラキラした光で、わたしたちは幸せの中におりました。
そのかわいいお顔を見ながら、
そのかわいい体を見ながら、
かわいらしい彼女のすべてを見つめながらわたしはしみじみと、
ああ、してしまったことは、
嬢にエネルギーを注がなかったことは、
その事実は、
決して消えないんだ。
と思いました。呆然としました。
どんなにどんなに悔やんでも、絶対に取り戻せないんだ。と、染み入りました。
のどの奥と胸のあたりはキュンとつっかえて、すごく悲しい気持ち。
そしたら、「そうよ、絶対、きえないのよ。でも、それでいいのよ」って嬢が言った。
悲しい事実に対しても、嬢から流れ込むのは肯定的なエネルギー。
消えないのよ、しちゃったことは。
だからみんな、がんばるのよ。
たとえいたらなくても。
今までたくさん、嬢に赦されてきた。
きかんぼちゃんで、あばれんぼちゃんな嬢を、私が赦してきたよりずっとずっと。
嬢は私を、赦しつづけてくれてきた。
まだ7歳なのに、病気にしちゃってごめん。
忙しいからって、ご飯もじっくりさべさせる時間がないからって、
嬢が一人でも食べるカリカリばっかりになっちゃったし。
大好きなのに、後回しにしちゃってごめん。
そういうことじゃないってわかってるのに、
嬢は私を責めたりしないってわかってるのに、
チーモが笑ってるようにって嬢ちゃん思ってるの、わたし知ってるのに、
自分を責めちゃってごめん。
・・・ンハー、自分を責めてるのって、楽だよね、グイッ(涙をぬぐう)
嬢ちゃんが、望むほうを、私も選ぶんだ。
涙を拭いて、笑って、うちに、帰るんだ。
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