と、電気もついてない台所で、小悪魔ちゃんな笑顔で3番目の妹、チビチビがささやいたのだった。
チビチビの瞳だけがきらりと輝いてました。
「教えてあげるからこっち来て」と、チーモをもっと台所の隅っこにいざなうチビチビ。
暗い・・・。姉さん怖いわ。
向き合うとおもむろに、
左手で自分のパジャマのズボンをぐっと下げて、
右手でパジャマの上着を思いっきりあげて、腹をバイン!と出すチビチビ。
キラキラしたお顔で、言うのです。
「さ、お姉ちゃんも出してちょうだい」
(あ・・・)と戸惑いつつ、言うとおりに腹を出す私。
「違う、もっとぐっと出して!」と叱かられながら。
「そしたら、次はお腹を膨らまして!」
(え・・・)と戸惑いつつ、言うとおりに腹を膨らます私。
「違う違う、もっと!もっと本気でふくらまして!」「もっと!」と叱責されながら。
互いの腹のふくらみ具合に満足したらしいチビチビが、
私から距離を取って向き合ってから言うのです。
「さあ、チビチビがこっちから走っていくから、お姉ちゃんもおもいっきり走ってきてね、
そして真正面からお腹をぶつけ合うの。ひるんだ方が負けだからね。」
チーモもう、すでにひるんでるよ!
「ヤアー!」って言いながらぶつけ合うのだそうです。
向き合って「ヤア!」「ヤア!」って真剣に言ってると、心底バカらしくておかしいんです。
ちょっとぶつかってみたけど、ぽにゃぽにゃした感触がすごく気持ち悪いんです。
チーモなんか、全然本気でぶつかれなくて、
チビチビに臆病者呼ばわりされました。
「この合戦のスピリットが全然わかってない」って言われました。
たしかにスピリットは全然わかってないかもしれないけど、
相手の腹を目の当たりにすると、
腰から力が抜けちゃう、恐ろしい合戦だってことはよくわかりました。
いやあ、人の腹に自分の腹をぶつけるのが、
こんなに勇気がいることだなんて知らなかったよ。
チビチビくらいの上級クラスになると、
(何のクラスかはわからないんですが・・・姉なのにわからなくてすみません・・・)、
普通に生活してても、相手の前で突然お腹を出して、
「ヤア!」って言うんだそうです。
それは合戦の合図で、出された相手(彼氏)は、絶対受けないとならなくて、
もちろん彼氏が合戦を吹っかけてきた場合も、
チビチビはいかなる時も受けないといけないんだって。
受けなかったらそれは武士の恥なんだそうです。
(武士ってチビチビのことみたいです。自分で言ってました。姉なのに止められなくてすいません・・・)
恐ろしい合戦があったものです・・・。
チビチビが彼氏と開発した新しい遊びだそうです、
これね、皆さんやってみてください。思った以上の威力だから。
しかし、なぜ台所の隅に連れていかれたんだろう、わたし。
PR